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「張遼様、その髪を結わせて下さいな」

 顔を合わせる度、こうだ。
 張遼はうんざりした様子で、目の前にいる可憐な花を見つめていた。


 他人の髪を結うのが好きらしい、と主であり戦友でもある呂布から話は聞いた事はある。よく彼も結ってもらっていたのだ、彼女に。

 まさか、自分が標的になるとは思いもよらなかった。


「お前、いつも結わないからだろ」
 ふと、そんな迷惑を戦友・高順を零した所、こんな答えが返ってきた。
 確かに言われた通り、先祖から受け継いだ、金が混じった茶髪は、逆らう事無くいつも風に靡いている。
「ったく、羨ましいな。俺が代わりになりたいくらいだ」
 幸せそうな奴め。
 心底、そう思った。



 ついに、魔の手が自分を掴んだ。
 大事な話がある、と呂布に呼ばれたのですぐに彼の私室へと向かったのだが、
「お待ちしてましたわ」
 呂布と他に、人が──呂布の寵愛を受けている可憐な花が、笑みを浮かべて、そこに居たのだ。逃げよう。だが戸の前に立ち塞がるのは、にやりと笑った主。
 腹を括るしかなかった。


「あぁー……とうとう捕まったんだな」
 高順はまじまじと張遼の髪を見つめた。
 不機嫌な表情で俯いている彼の髪はどうなっているのかというと、簪や髪留めを使って綺麗に纏められており、更に横の方には編み込みが入っていた。微かに髪から上品な香りもする。
「しっかしここまでやるとは……流石、貂蝉様だな」
 こればかりは──泣きたくなった。





我が家の貂蝉は他人(特に男性)の髪を結うのが好きなんです。
呂布のが飽きたから張遼のがやりたくなったんですね、きっと。

[2010年 5月 13日]